初期臨床研修医を対象にした「下部消化管内視鏡(CF)実技研修会(第1回大腸内視鏡実技選手権)」を開催しました(2/22)
初期臨床研修医の希望者(1年目4名、2年目4名、臨床工学技士1名)を対象として、消化器内科研修で学んだ大腸内視鏡挿入技術を競う「下部消化管内視鏡(CF)実技研修会(第1回大腸内視鏡実技選手権)」を開催しました。
研修会では大腸内視鏡モデルを使用し、盲腸までの到達時間と、実際の患者さんにも通用するかどうか等の挿入技術を得点化し順位付けを行いました。
初期臨床研修医たちは、日頃の研修で学んだ技術を発揮しようと、みな真剣な表情で実技に取り組んでいました。審査の結果、1年目初期研修医が優勝し、後日行われた表彰式では、上位2名と審査員特別賞を獲得した初期臨床研修医に表彰状と豪華景品が贈呈されました。
今後、実際の症例でも経験を積み、さらなる大腸内視鏡のスキルアップを目指してほしいと思います。
(1)挿入時間 | (2) ア | (2) イ | (2) ウ | 合計点 | 順位 | |
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研修医1年目 | 10 (3分41秒) | 4 | 2 | 2 | 18 | 1 |
研修医2年目 | 8 (4分30秒) | 2 | 2 | 4 | 16 | 2 |
研修医2年目 | 9 (4分10秒) | 2 | 2 | 2 | 15 | 3 |
研修医2年目 | 7 (5分20秒) | 2 | 2 | 4 | 15 | 4 |
研修医1年目 | 6 (6分25秒) | 1 | 1 | 4 | 12 | 5 |
臨床工学技士 | 5 (7分11秒) | 3 | 0 | 3 | 11 | 6 |
研修医2年目 | 4 (7分42秒) | 1 | 1 | 3 | 9 | 7 |
研修医1年目 | 3 (11分14秒) | 1 | 2 | 3 | 9 | 8 |
研修医1年目 | 0 (16分40秒) | 1 | 2 | 3 | 6 | 9 |
【採点基準】
(1)CF挿入時間 (挿入時間が短い順に加点)
1位→10点、2位→9点、3位→8点、4位→7点、5位→6点、6位→5点、7位→4点、8位→3点、9位→2点、ただし棄権および15分以上は0点
(2)CF挿入技術
-
脾弯曲までの取り回し(4点満点)
仰向けにするタイミングは適正か/S状結腸が過度に伸びていないか/軸保持短縮ができているか/脾弯曲をスムーズに通過できているか など -
脾弯曲から盲腸までの取り回し(2点満点)
横行結腸の短縮が本番さながらにスムーズか/肝弯曲の超え方がスムーズか など -
挿入技術内容(4点満点)
姿勢よく、内視鏡が操作できているか/左手のみでアングル操作を行い、適切に右手でトルク操作を行っているか/吸引・送気を適正に行っているか/できるだけ内視鏡が管腔の中心をとらえており、赤玉にならずに挿入できているか/目線を画面から常に離さずに、アングルを見ずに内視鏡を操作できるか/ニュートラルポジションを理解できているか など
(1)+(2)の合計点(計20点満点)で点数の多い順で順位付けを行う。同点の場合は挿入時間が短い方が上位とする。
総評
第1回大腸内視鏡実技選手権の栄えある優勝は、1年目研修医となりました。大腸モデルとはいえ、研修医1年目にして3分41秒で盲腸まで達するとは見事といえます。挿入技術内容に関しても、軸保持が保たれており、モデルでかなり練習を積んだ成果が出たものと思われます。ただ吸引・送気などの実際の症例で必要な要素が欠けていたことが唯一の減点材料となりました。今後は実際の症例でも経験を積んで、さらなる大腸内視鏡のスキルアップを志してもらえればと思います。
2位の2年目研修医は、大腸内視鏡を教えた当初からセンスの良さに感心した逸材です。研修期間から今回の大会までブランクがあったにも関わらず、2位という結果は立派です。今後は外科を専攻するとのことですが、せっかく身につけた内視鏡技術を生かしてもらえればと思います。
3位の2年目研修医は、挿入時間で2位の先生を上回っていたものの、技術内容の差で3位となってしまいました。研修医1年目の頃に胃カメラを四苦八苦しながら行っていたことを思うと、3位という結果は大いなる進歩であり、日ごろの努力の賜物と思われます。今後は消化器内科に進むということで、より一層内視鏡技術の向上を目指していただきたいです。
審査員特別賞は、5位の1年目研修医を指名しました。誰よりも大腸モデルで練習していましたが、本番では気負いのせいか、実力どおりの結果が出せませんでした。それでも内視鏡の操作技術は素晴らしく、指使いの器用さには惚れ惚れするところがあり、今回審査員特別賞に指名しました。たすき掛けのため2年目は信州大学で研修するとのことですが、是非将来は内視鏡とかかわりのある分野に進むことを期待しています。
その他の研修医の先生も、それぞれにいい面が出ていましたが、ブランクや経験不足のため、入賞はかないませんでした。それでも内視鏡を通じて学んだことは大なり小なり今後の臨床の中で役に立つこともあるのではないかと思います。皆さんのこれからの奮起に期待します。
最後に、この企画にご協力いただきましたスタッフの皆様に御礼を申し上げます。