整形外科後期研修医ダイジェスト

外来編

繰り返しになりますが、外来ではアナムネをしっかり取れるようになるまで厳しく指導されます。一応解説しておきますと、アナムネとはドイツ語Anamneseの略語であり、要するに病歴のことです。具体的には、指導医の下で新患の予診(指導医が診察する前の予備診察)を取ることから研修がスタートします。「主訴」「現病歴」「既往歴」がしっかり取れるようになるまで、来る日も来る日もこの作業が続きます。やがて必要な検査や治療の計画を立てるところまで任されますが、それでも最初の頃は指導医に相談(上申)することが義務づけられています。研修医・指導医双方にとって手間のかかるシステムですが、これは貴重な勉強の機会であり、科学的根拠に基づいたスタンダードかつ良質な医療を患者さんに提供することにもつながります。怠慢な指導医が研修医を放置している病院が少なくないことを考えれば、恵まれた環境にあるといえるでしょう。7名の指導医は全員が日本整形外科学会の専門医であり、また日本リウマチ学会の指導医である院長を含めた5名がリウマチ専門医の資格も有しているので、専門的知識を学べるばかりでなく、整形外科やリウマチの専門医を取得するための認定研修も当院では積むことができます。

また、患者さんに病状を説明するためのインフォームドコンセント用紙が、疾患ごとに完成された形で外来には用意されています。これらは厚労省(日本整形外科学会)の診療ガイドラインに準拠しています。これらを患者さんに読み聞かせる過程で、研修医自身も診療ガイドラインを繰り返し勉強する機会を得ることができるのです。もちろん、当院のオリジナル資料です。

毎週月曜日のレントゲンカンファランスでは、前週に新しく受診した新患の画像(主にレントゲン)とカルテを、再度全員でチェックします。研修医にレントゲン読影技術を指導するとともに、見逃しや見落としを防いで医療の質を確保し、今後の検査の進め方や治療方針をディスカッションすることで全員のスキルアップを図るのが目的です。


外来では、患者さんへの接し方や診断書の書き方も指導されます。「お医者様でもないが、患者様でもない」というのが、私たちのスタンスです。医師が不遜な態度で診療を行うことは言語道断ですが、そうかといって卑屈な診療態度では、やはり医師と患者が適切な信頼関係を築くことができなくなります。常に真摯で公正な診療を行うことが大切なのです。当院では、全職員対象の接遇研修会なども定期的に開催されています。不要なトラブルや訴訟に巻き込まれないためにも、正しい診断書の書き方を学ぶことも、現代の生きる医師には不可欠であると考えられます。

また当院は、屋上にヘリポートを有し、高速走路のインター近くに位置する病院ですから、年に数回は多発外傷の患者さんを治療する機会もあります。自分が何をすべきか、どう役に立てるのかを考えて迅速に行動することで、普通なら助からないような命を救うこともできます。多発外傷の治療経験は、チーム医療の重要性を実感する機会でもあり、人工呼吸器などを用いた全身管理に習熟する機会ともなります。各診療科の協力体制がしっかりしているのも当院の特徴です。複数の診療科にまたがる重症の患者さんをお互いに押し付け合う、いわば「院内患者たらい回し」が多くの病院で問題となっていることを考えると、当院では院内の連携が良好に保たれています。

さらに、あくまで希望者限定ですが、私(松永)のマンツーマン指導による理学所見の取り方の勉強会も開催されます。Stanley Hoppenfeldによる名著「図解四肢と脊椎の診かたPhysical Examination of the Spine and Extremities」を使った問答形式の個別指導です。ただし、その厳しい指導ゆえにこれまで幾人もの研修医が途中でギブアップしているので、挑戦するのであればそれなりの覚悟を持って臨んでください(2011年6月現在、達成者0名)。

レントゲンカンファランス
毎週月曜日夕方にはレントゲンカンファランスが行われます。
Stanley Hoppenfeldの名著
Stanley Hoppenfeldの名著を用いた問答形式の勉強会も希望者限定で開催。