内視鏡的胃内バルーン留置術
内視鏡的胃内バルーン留置術とは
100kg以下の中等度肥満の方はダイエット入院を行うだけでも十分に効果があります。ただ、100kgを超えるような高度肥満の方は、食事療法のみでは理想体重に達しない場合があります。
そのような方に対し当院ダイエット科では、1980年代後半から欧米を中心に施行され、内科的治療と外科的治療(手術)の中間に位置する「内視鏡的胃内バルーン留置術」を行っています。 担当の前川医師はこれまで、この「内視鏡的胃内バルーン留置術」を 日本国内歴代1位となる127例 に施行し、バルーン留置後12ヶ月で平均15kgの体重減少効果を認めています。
治療対象となる患者さん
食事療法では減量が困難なBMI 27kg/m²以上の方。ピロリ菌感染者に関しては除菌が必須であり、入院前にピロリ菌のチェックを行い、感染者に対して除菌治療を行った上で胃内バルーン留置を行います。
治療の流れ

2泊3日の入院にて治療を行います。
経鼻内視鏡で観察しながら、胃内にシリコン製のバルーンを入れます。そのバルーンの内部を生理食塩水で満たし(直径約10cmの大きさになります)、そのまま胃内に6ヶ月間留置します。治療は簡単な麻酔のみで行われ、身体に傷も残らず、通常の胃カメラ検査の感覚で実施される10分程度の治療です。6ヶ月後、経口内視鏡を用いて胃内バルーンを穿刺・抜去します(抜去には入院の必要はありません)。
肥満の合併症の有無をチェックするため、外来初診時に血液・尿検査、糖負荷試験、腹部エコー、腹部CT(内臓脂肪面積測定)を行い、後日胃カメラ・大腸カメラにより消化管スクリーニングを行います。
胃内バルーン留置中の6ヶ月間、および胃内バルーン抜去後1年間は月1回の外来受診をしていただき、毎回医師および栄養士による糖質制限食の栄養指導を行います。
また、 胃内バルーン抜去後のリバウンド防止のため、糖質制限食の食事療法を中心とした1週間の教育入院である ダイエット入院 もお勧めしています。
なお、当科ではFDA(アメリカ食品医薬品局)で認可された、全世界で9割以上のシェアを占める安全性の高いORBERA®というバルーンを使用しています。
<治療上の注意>
胃内バルーン留置を行ってから4~5時間後から約2日間、吐き気や嘔吐などの腹部症状が持続することが多く、医療用の食事代替食品(フォーミュラ食)による食事療法および点滴治療を行うため、2泊3日の入院加療を行います。
※1年間のバルーン留置をご希望の方は、1年タイプのバルーンをご用意することも可能です。
治療イメージ動画(クリックすると再生します)
あなたのBMIは?
以下の空欄に身長(cm)、体重(kg)を入力し、BMIを計算してみましょう。
身長 cm 体重 ㎏
あなたのBMI ・・・
BMIの標準値は、22とされています。
治療にかかる費用
内視鏡的胃内バルーン留置術は保険適用ではなく自費診療で行います。 材料費、薬剤費、入院にかかる費用はおおよそ40万円(税込)(個室代、食事代含む)となります。 なお、嘔吐の症状があるため個室とさせていただきます。
スタッフ紹介
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- ダイエット科部長
- 消化器内科部長
- 2001年医師免許取得
- 日本肥満学会肥満症専門医・指導医・評議員
- 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・指導医・学術評議員・甲信越支部評議員
- 胃内バルーン輸入許可証取得医
- 日本内科学会総合内科専門医・内科指導医
- 日本消化器病学会消化器病専門医・指導医・甲信越支部評議員
- 日本消化管学会胃腸科認定医・専門医・指導医
- 日本肝臓学会肝臓専門医・指導医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 医学博士(産業医科大学)
お問い合わせ
JA長野厚生連 長野松代総合病院 ダイエット科
TEL:026-278-2031(代表)
以下の入力フォームからもお問い合わせいただけます。
メディア・講演活動 等
- 2018年4月21日(土)、松本大学大学院で開催された公開講座で前川医師が講演を行いました。
- 2018年5月27日(日)に開催した「第3回市民健康セミナー」で前川医師が講演を行いました。
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2019年3月3日(日)に大分大学で開催された「第12回内視鏡下肥満治療(胃内バルーン留置術)トレーニングコース BIB® and Orbera™ System Training Workshop」で、前川医師が講義を行いました。
[blog] 当院ダイエット科前川智医師が「第12回内視鏡下肥満治療(胃内バルーン留置術)トレーニングコース」で講義を行いました
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内視鏡的胃内バルーン留置術症例が100例目となりました
当院ダイエット科前川智部長が行っている「内視鏡的胃内バルーン留置術」の施術が100例目となり、その記念に患者さんへ花束が贈られました。
※ホームページ掲載について患者さんに了承を得ています。
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胃内バルーン留置術のリバウンド予防として、糖質制限食が有効であることを示した前川医師の英文論文が医学雑誌に掲載されました。
Pubmed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32378654/
Intern Med.2020;59(9):1133-1139
『A Comparison of the Weight Loss Effect Between a Low-carbohydrate Diet and a Calorie-restricted Diet in Combination With Intragastric Balloon Therapy』 -
2020年7月13日(月)に、前川医師と佐野臨床工学技士が関東中央病院で「内視鏡的胃内バルーン留置術」の技術指導を行いました。
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2020年9月1日(火)~4日(金)にアイルランドで行われた「国際欧州肥満学会」(オンライン開催)で、前川医師が胃内バルーン留置術+糖質制限食の有用性を発表しました。
*発表ポスターと口演動画は以下からご覧いただけます。
ECO-ICO online e-poster
- フジテレビ系列『バイキングMORE』でダイエット科前川部長が肥満症専門医として解説を行いました
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2021年1月18日(月)に、前川医師と佐野臨床工学技士が関東中央病院で「内視鏡的胃内バルーン抜去術」の技術指導を行いました
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胃内バルーン留置術に関する論文が医学雑誌「臨床外科」に掲載されました。
医書ジャーナル
https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1407213323
臨床外科 76巻4号,460-466,2021
『内視鏡的胃内バルーン留置術』
前川医師の著書・監修本
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『1週間で痩せる!自宅でできる糖質制限プログラム』 2018年10月20発行 出版社:ぴあ株式会社
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『10分で2品!やせる糖質オフレシピ』(監修) 2019年6月22日発行 出版社:西東社
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『内臓脂肪もスッキリ落ちる やせる!糖質オフ決定版』(監修)
2020年5月10日発行 出版社:永岡書店